オンライン講座《日本古典への招待》『古事記』を読む (後半)NEW

《日本古典への招待》『古事記』を読む 後半講座

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ぜひお気軽にご受講ください。

●講師からのコメント
 『古事記』は、『日本書紀』と並ぶ古代の歴史書だが、その性格は大きく異なる。国家
の歴史書であることを標榜する『日本書紀』とは違い、『古事記』は宮廷の歴史書として
の性格をつよくもつ。天上の世界から地上の世界へ、アマテラスを始原とする皇統が、天
孫降臨以後、どのように継受されてきたのかを、『古事記』は宮廷の歴史として語ろうと
する。しかも、一個の物語として語ろうとする。それゆえ、『古事記』には、高い文芸性
が現れている。この講座では、『古事記』の文脈に即しながら、『古事記』を文学作品と
して読んでいこうと思う。民俗学の視点も導入しながら、古代の人びとの世界像がいかな
るものであったのかについても言及したい。『古事記』は、こんなにおもしろい!

●第八回 ヤマトタケルの物語@
 この回と次回の二回、ヤマトタケルの物語を取り上げる。「景行記」の中心は、このヤマトタケルである。ヤマトタケルの並外れた暴力性を恐れた父景行天皇は、ヤマトタケルを西征に向かわせる。以下、西征の対象である熊曾建、さらには出雲建の討伐譚を見ていく。ヤマトタケルを辺境に追いやる王権の論理とはいかなるものであったのか、またヤマトタケルが女にも紛う美麗な質を具えていることの意味についても考えてみたい。

●第九回 ヤマトタケルの物語A
 前回に続き、ヤマトタケルの物語を見ていく。西征から戻ると、ヤマトタケルは、すぐに東国平定を命じられ、ついには伊吹山の神の祟りにより、悲劇的な死を遂げる。尾張のミヤズヒメとの婚姻をどのように意味づけるか、「月の障り」の問題についても論じていく。ヤマトタケルの描かれ方は、『古事記』と『日本書紀』とでは、大きく異なるが、そこに歴史書としての性格の違いが現れていることを、具体的に指摘してみたい。

●第十回 神功皇后の物語
 仲哀天皇は、神の言葉を疑い、ために崩御する。仲哀は、天皇としての資格を、神によって否定された天皇でもある。仲哀はなぜ神の言葉を疑ったのか。そこから、支配する領域を「見る」ことが、いかなる意味をもつ行為であったのかを考える。仲哀に代わって、新羅に出征したのが神功皇后だが、応神天皇の生まれるのを先延ばしにしたとされる「鎮懐石」の伝説、また応神の出生にかかわる住吉三神との関係などについてお話しする。

●第十一回 仁徳天皇の物語@
 ここから下巻の世界になる。仁徳天皇は、仁と徳とを体現した古代の聖帝とされる。そうした聖帝でありながら、仁徳の記事の大半は、皇后イハノヒメの並外れた嫉妬の物語によって構成される。仁徳はなぜ皇后の嫉妬に悩まされるのか。ここでは、嫉妬の意味を、古代の「いろごのみ」の論理と結び合わせることで考えていく。同時に、イハノヒメとは、どのような存在であったのかについて見ていく。光明子の立后問題が関連することにも触れてみたい。

●第十二回 仁徳天皇の物語A
 ここでは、仁徳天皇の異母弟、異母妹である、ハヤブサワケと女鳥王の反乱伝承をながめる。歌を中心とする歌物語として展開される話だが、歌物語もまた、『古事記』の文芸性を支える大切な要素の一つといえる。さらに、日本で産卵するはずのない雁が、この国で卵を生んだとする奇瑞譚、また世界樹とも呼べるほどの巨木を切り倒して船を作り、その船で淡路島から、毎日のように天皇の食膳の水を運んで来たとする伝承を見ていく。

●第十三回 軽太子の近親相姦の物語
 允恭天皇の崩御後、皇太子に定まっていた軽太子と、その同母妹である軽大郎女との密通が露顕する。同母の兄妹による近親相姦である。軽太子は捕らわれ、伊予に配流される。軽大郎女(別名衣通王)は、その後を追って伊予に赴き、二人はそこで情死する。いわば悲劇の恋物語だが、すべてが歌を中心とする歌物語として展開される。『日本書紀』とはやや違った筋道をたどるが、その歌物語を、できるかぎり丹念に読み進めていく。

●第十四回 雄略天皇の物語@
 雄略天皇は、仁徳天皇とともに、下巻の世界を代表する天皇である。ここではまず、雄略のさまざまな恋物語を見ていく。後に雄略の皇后となる若日下部王への求婚の物語、三輪山の神に仕える巫女とおぼしき赤猪子と呼ばれる女への求婚の物語、さらには雄略が、𠮷野川の辺で出逢った仙女と聖婚を行ったとする話などをながめていく。求婚の物語ではないが、大和の国号が「蜻蛉島(秋津島)」となった由来譚も見ていく。

●第十五回 雄略天皇の物語A
 まずは、葛城山を舞台とする二つの話を、見ていく。一つは、雄略天皇が、大猪と遭遇した際の、やや滑稽な内容の話、いま一つは、雄略が、葛城山の神である一言主神と出逢ったとする話である。雄略には、暴虐なところがあり、雄略に父を殺された二人の兄弟(後の顕宗天皇・仁賢天皇)が、雄略の崩御後、世に現れるまでの経緯をたどる。最後に、
『古事記』を支える歴史意識がどのようなものであったかを確認して、全体の結びとする。


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いつでも視聴できます。

曜日・時間

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12,000円(税抜)

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講師

多田一臣 (国文学者・東京大学名誉教授)

講師プロフィール

東京大学大学院修了。博士(文学)。千葉大学助教授、東京大学教授、放送大学客員教授、二松学舎大学特別招聘教授等を歴任。日本古代文学、日本古代文化論専攻。著書に、『日本霊異記』(全3冊、ちくま学芸文庫)、『万葉集全解』(全7冊、筑摩書房)、『古代文学の世界像』(岩波書店)、『柿本人麻呂』(人物叢書、吉川弘文館)、『古事記私解TU』(花鳥社)、『万葉樵話』(筑摩書房)などがある。古代の人びとの背後にある世界像の追求と表現史の構築を目指す。

持ち物

パソコン、スマートフォン、タブレット端末いずれか1台。インターネット環境(Wi-Fi利用の場合は、通信環境の良い場所で)。